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政治と言語的センス カエサルと一億総活躍社会

時事ネタ 雑記

一億総活躍社会と聞いて思うところあるので。

普通に国家総動員体制を連想しましたよ。センス悪すぎですよ。あとは一億総中流か、一億総懺悔?

どことなく漂う全体主義的な発想。労働力としての側面にばかり目を向けているのではないでしょうか。 個人主義がはびこるこのご時世ですから反発は必至。

人それぞれ能力と境遇に応じて、できることをやっていればそれでいいと思うんですけどね。なんかこう、紋切り型の理想像に人を当てはめようとしていませんか。 「良妻賢母」とか、「男は外、女は…」みたいな理想像。

うまく表現できませんが、「うつの人に頑張れとハッパをかける」とでもいうんでしょうか。同調圧力に苦しむマイノリティをさらに追い込むというか。

目指す方向もどうかと思うのですが、それ以上に言葉のチョイスの失敗だと思うんです。「この国は言霊の幸はふ国」ではなかったのかな。

社会全体が自信喪失気味なうえ、格差が拡大している最近のご時世で「一億」などと国全体の連帯感を強調しようというのは違和感あります。 そのうえ「活躍」などと言われても、非正規雇用で活躍しても美味しいところはプロパー社員に持っていかれるだけではないですかね。

塩野七生さんの、「ローマ人の物語」シリーズに登場するカエサルの言語的センスに関する逸話をご存知でしょうか。 タプススの戦い - Wikipediaのエピソードのセクションに記載があります。

待遇改善を要求するつもりで従軍拒否を起こしてカエサルに詰め寄った兵士たちに対し、いつもならば戦友諸君(コンミリーテス)と呼びかけるところを市民諸君(しみんしょくん) と部外者に話すように語りかけ、結果的に狙い通り待遇改善なしに従軍させたという逸話です。

カエサルの対応にショックを受けたこの兵士らは結局、「一緒に戦わせてくれ」と志願して従軍することになります*1

小飼弾さんのブログに該当箇所の引用があります。

404 Blog Not Found:書評 - ローマ人の物語IV,V ユリウス・カエザル

まさに言葉のチョイス一つで集団心理を大きくコントロールできるという好例です。リンク先はリーダーの資質の話ですけど。

他方で今回の新・三本の矢、どうでしょうか。「一億総活躍社会」…イマイチですよね。

古代ローマきっての偉大なリーダーと、安倍総理を比較するのはどうかという気もしますが、もうちょっとどうにかならなかったんでしょうかね。

五賢帝の時代の前だったか後だったか忘れましたが、カエサルの真似をして人心掌握を図ろうとして見事に失敗した皇帝がいるぐらいです。それもカエサルと同じ言葉で。 安倍総理は「ローマ人の物語」、読んでないのかなあと残念に思う今日この頃。

Kindleならかさばりませんし、しかもハードカバー版でも充分安価です。読書の秋にいかがでしょうか。

余談ですが、「ローマ人の物語」で私が一番好きなのはハンニバル戦記です。ハンニバルの奮闘ぶりは社長はすごいけど事業部長クラスに優秀な人材のいない中小企業のようで面白いです。

それにしても El Capitanのライブ変換機能、素晴らしいです。難点はひらがなのままにして欲しいところを変換されちゃうところかな。

それでは。

*1:一時金を支給したり戦後の補償はしたらしいですが