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トランジスタ技術 11月号にみる時代の変化?


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ラズパイがらみでトランジスタ技術 2016年 11月号を買ってみました。先日のInterfaceに続いて組み込み系の雑誌です。

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PICマイコン系の電子工作の雑誌、あるいは業務用の組み込み機器の雑誌という印象でしたが、Linux+αをメインに特集を組んだりするんですね。

Raspberry Pi 用のI/O拡張用のプリント基板が付録(もちろん部品は別売)。

出版社の特設ページ:ラズベリー・パイ電子工作

特集記事の第1章の見出しを見ると隔世の感があります。確かに昔から組み込みLinuxというのはありましたが、ここまで一般化するとは思いませんでした。

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第1特集は前半が主にLinux(Raspbian)、シェルスクリプトPythonの解説で、後半がLEDなど一般的な電子工作部品を使った応用例、という構成です。

前半はともかく後半は実際にLEDなどの部品を確保しないとなんとも言えないです*1Raspberry Pi 固有の話を除くとその辺のLinux解説本のアラカルトってところですか。Linux経験者からすると固有の部分だけ説明してくれって感じです。

第2特集は付録の基盤を使う事例。こっちもやはり部品を確保しないとなんとも、です。

気になった点など

昨日(10月8日)発売ですが、残念なことにRaspbian側が9/23日にアップデート版がリリースされています。基本的に支障はなさそうですが、GUI環境がLXDEベースのPIXELに更新されている関係で見た目が多少変化していたりします。

Introducing PIXEL - Raspberry Pi


Linux歴の長い人間からするとところどころ違和感があるので書いておきます。

  • なぜ日本語フォントにさざなみゴシック(ttf-sazanami-gothic) ?
  • 今時かな漢字変換エンジンにAnthy (scum-anthy)ですか?

日本語フォントならIPAフォントもパッケージが用意されているし、Google日本語入力オープンソース版のmozcもあるのに……。Linux デスクトップのイメージ下げる作戦?


過去記事にも書いてますが、日本語フォントとしてIPAフォントを使うなら下記のコマンドを実行。

$ sudo apt install fonts-ipafont

かな漢字変換エンジンは下記で。

$ sudo apt install fcitx-mozc


また、Windowsからラズパイに接続する方法(p.49)として、xrdpをインストールするように勧めている箇所があるが、これも最新版のRaspbianではRealVNCが最初からインストールされている*2関係で注意が必要。

多分、RealVNCをアンインストールしてからxrdpをインストールしないとダメ。

まだちゃんと読んでいないのでまた後で。

重箱の隅

[2016/11/07 追記]

もう12月号が出るだろうけど追記。

  • p.54 図4: '/etc/inittad' ではなく/etc/inittab ではないか。ただし、私のRaspbian にはそんなファイルはない(systemd だから)。
  • p.70 :Python用のIDE、「私の日本語環境では、IDLE上で日本語を入力できませんでした」と記載があるが、確定前の文字列が表示されないだけでfcitx-mozcなら変換候補は見えるし入力もできる*3
  • p.71 リスト1 (a):図に吹き出しで「日本語フォントの指定」と書いてあるが、ソースファイルの文字コードを指定するためのマジックコメントなのでこれは誤り
  • p.71 リスト1 (a):図に吹き出しで「モジュール・ロード時に〜」と書いてあるが、矢印の先はprint文なのでおかしい。importの説明だとは予想できるが……。
  • p.74 「RPi.GPIOを使用したPythonプログラムは〜」という説明箇所で、管理者権限が必要なのでsudoを使えという趣旨のことが書いてある。しかしながら、Raspbian であれば、使用するユーザーをgpioというグループに参加させれば管理者権限は不要。最近は/dev/gpiomemというデバイスファイルを経由して操作しているようなので*4

特集記事を書いた方、あまりLinux好きじゃないのかな……。35ページ目から130ページまで丸々一人で書いてるから細かい箇所は仕方ないのか。あるいはすでに確立したノウハウをそのまま書いてるのか。古いノウハウをそのまま書いてないか?

この雑誌、著者の経歴とか書いてないのでなんとも言えない(あまり興味はないが)。ググった感じではPICマイコンの電子工作本を書いておられる方なのかな。

Windows育ちの方にイチからLinux解説しろと言われてもなかなか難しいのは十分理解していますが、不思議としっくりきません。

7章はちょっと変な記述が散見される。バリバリの組み込み系の方から見たPythonはこういう風に見えているのか、という新鮮な驚き。

別にLED点滅のサンプルなんで問題ないですが、PythonとCのソースのみで配線図が記載されていないです。ラズパイ側に内蔵されているプルアップ抵抗のサンプルかな。

LEDを点滅する程度であれば配線の説明のいらないレベルの人が読者層なのでしょうけど。

それなりにラズパイで電子工作を始めたいなら、少し古いですが*5ブルーバックスから出ている書籍を買う方が親切だと思いました。

ブルーバックスなのにカラーです。時代は変わるものですね。

そもそも

付録のプリント基板を活用するには部品セットの購入(¥5,480(税抜))と半田ごて(+PICライタも?)を購入する必要があるのが悩みどころ。そもそもタッチパネルをつないでいる関係でGPIOポートは空いてないし…。

そもそもここ数年、ハンダづけ自体してませんけどね。

ちなみにこの袋とじの付録、切り取り用のミシン線も何もないんですが、綺麗に開封するにはどうするのがいいのでしょうかね? ハサミで切れっとこと?

また後で追記します。 一つ前のセクションに追記済み。


今月はちょっとばかし金遣いが荒いかも……。

*1:逆に言うと前半はあれこれ言える

*2:自動起動はしていない

*3:やや不便ではあるが、日本語を入力できない訳じゃない。もちろん環境による。

*4:バイスファイルのパーミッションさえ適切なら管理者権限は不要

*5:9月にラズパイ用のOSがアップデートされてUIの見た目が変化しているなど

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