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書評:『技術同人誌を書こう! アウトプットのススメ』


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購入の動機は電子書籍でストック型の所得、すなわち不労所得を目指したいから。同人誌だけで左団扇は無理だとは思うけど参考になるだろうということで。

本の概要

技術同人誌を書こう! アウトプットのススメ (技術書典シリーズ(NextPublishing))

技術同人誌を書こう! アウトプットのススメ (技術書典シリーズ(NextPublishing))

コミックマーケット93?で配布された同人誌の商業版。

コンセプトは「1冊読めば、技術書を書いてイベントで売るところまで全体の流れがわかるマニュアル本」。

タイトルにあるとおり、紙媒体の同人誌を技術系の内容で作成するために必要な内容を網羅している。

内容は題材の選び方から印刷所の選び方、入稿の注意点まで多岐にわたる。ただ、文章の書き方そのものは解説されていない。ある程度文章を掛ける人が対象。

電子書籍を書くためのツールのインストール方法と初期設定(Re:ViewおよびWord)については詳しい。Wordのスタイル機能の設定に関しては同人誌以外のフォーマルな文章でも役に立つはず*1

一人の著者ではなく複数人で分担して執筆されている。そのあたりの経緯は関係者のブログなどを参照。

関連:本文212Pの分厚い薄い本の共同執筆を支える技術 - Qiita

NextPublishing版と同人誌版の違い

少見出しのひらがながカタカナになったり、税金についての章が追加されたり、付録の構成が変化したり。 特に付録は「この本の執筆環境について」という章が削除されて「技術同人執筆者たちの生き様」が追加されている。

目次をテキストに保存して比較してみたので以下ご参考。

f:id:atuyosi:20180630185943j:plain:w480

同人誌版の入手

同人誌版の原稿データ一式がまるごとGitHubで公開されている。

Dockerとgitがあれば原稿データからPDFを生成できます*2。またはBoothで有償で購入。

GitHub経由で入手する場合はまずDockerをインストールしておく必要あり。

PDFをRe:Viewで生成する必要があるのでDockerデーモンが起動した状態で端末エミュレータ*3を起動して下記のコマンドを実行。

$ git clone https://github.com/onestop-techbook/c93-onestop-techbook.git
$ cd c93-onestop-techbook/
$ docker run --rm -v `pwd`:/work vvakame/review /bin/sh -c "cd /work/articles ; review-pdfmaker config.yml"

生成されるファイルは、articlesというディレクトリの中の、c93-onestop-techbook.pdf`。

macOSならそのまま下記のコマンドを実行するとプレビューでPDFが読めます。

$ open articles/c93-onestop-techbook.pdf

太っ腹ですね。

感想

行間から著者陣が執筆を楽しんでいるだろうという雰囲気がにじみ出ている。

言葉は良くないかも知れないけど、物好きというか、変人の集まりのなせる技。だれかに命令されたわけでもないのにこういう本ができあがるのはすごいと思う。

個人的には紙媒体で印刷してイベントで頒布したいとは思わないが、電子書籍は作りたいと思っているので非常に参考になった。

疑問に思ったところ

ノンブルに関して

10章のところ。

なのノンブルもページ番号も、表紙1と表4にはつけません。

「表紙1」はともかく、唐突に「表4」と言われてもわからない。誤字脱字のたぐいかと思って真剣に悩んでしまった。「表4」とは「表紙4」。

11章に下記の説明がある。

表1(表紙)表4(裏表紙)、表2(表紙の裏)、表3(裏表紙の裏)

表紙の「表」なのか、表計算の「表」紛らわしい。

そのほか

Re:ViewかWordの2択状態はちょっとどうにかして欲しいと思った。ダウンロード用のカードを配布したという事例に言及しているけど、ダウンロードURLを どう発行したとか、そういうノウハウが解説されていないのはちょっと残念な印象。

まとめ

商業出版ではなく同人誌としての印刷を前提にしたノウハウが中心ですが、技術系の同人誌から商業出版というパターンも結構あるようなので イベント参加はともかく、書籍を書く側を目指すなら読んで損はない本です。

2018年6月末現在、Kindle版が約半額。手元にパソコンがあればDockerさえ動けば同人誌版は無料で読めます。

以上です。

同人誌のデザイン - 手に入れたくなる装丁のアイデア

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  • 作者: 井上綾乃,しまや出版,BNN編集部
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*1:ちゃんと設定してWordを使っている人は少ないはず

*2:要するにただで読める

*3:要するにターミナルかiTerm2

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