ラズパイ3 でARM版 Fedora 25 Beta を試す
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カーネル4.8でラズパイ向けのドライバがメインラインに*1に取り込まれた関係で、Fedora 25でラズパイを正式にサポートするようです。
以前からFedora 自体はラズパイでも動いていたようですが、今回は構築済みイメージが提供されるよってことのようです。
どうやらラズパイ 2と3のみでCompute Moduleなどはサポート外。
すでにFedora 25 のベータがリリースされているので予備のmicroSDで試してみました。
結論を先に書いておくと、Gnome デスクトップは重いです。動作が緩慢な印象。
何がまずいのかよくわかりませんが、ちょくちょく「Gnome Shell がクラッシュしました」とか「コンポーネント内で問題が発生しました」という表示が出ます。
そんなギャグかまさなくてもいいのに。
セットアップ
結局のところダウンロードしたデータをxz
で展開してdd
で書き込むだけです。
ダウンロードしたイメージファイルをmicroSDに書き込みます。他のOSの場合は公式サイトの説明を参照。
イメージファイルのダウンロード
Raspberry Pi - FedoraProjectからリンクをたどります。
お目当はWaylandベースのデスクトップ環境なのでワークステーション向けのイメージをダウンロード。
もしくはナイトリービルド版。
Index of /pub/fedora/linux/development/25/Workstation/armhfp/images
microSDへの書き込み
microSDのデバイス名を確認する必要があります。mount
コマンドの出力を見て判断しています。Raspbian の動作しているラズパイにUSB接続のmicroSDカードリーダーをつないで作業しました。
ダウンロードしたファイルのチェック。
$ sha256sum Fedora-Workstation-armhfp-25-20161018.n.0-sda.raw.xz f7a5d6f1478eaff89f166c7b0977c0b4594ac5e2f97a0c98d94259e00f00671b Fedora-Workstation-armhfp-25-20161018.n.0-sda.raw.xz
※一昨日ぐらいに落としたナイトリーイメージの方です。随時更新されているのでサイト上のチェックサムとは一致しません。
問題なさそうなので、dd
で書き込み。
$ xzcat Fedora-Workstation-armhfp-25-20161018.n.0-sda.raw.xz | sudo dd bs=4M of=/dev/sda
8GBのmicroSDでも利用可能になっている反面、容量の大きいmicroSDの場合は未使用の領域が発生することになります。
本格的に使用する場合は、(データを消さずに)ルートパーティションのサイズを拡張する必要があるようです(Linuxならgparted
など)。
とりあえず試して見たいだけなので、今回は気にしないことにします。
起動
HDMIディスプレイ、USBマウスとキーボードを接続した状態でmicroSDをセットして電源を入れると初期設定ウィザードが起動するはずです。しばらく待っても表示されない場合は、おそらくdd
コマンドのあたりで失敗しています。SDのフォーマットからやり直せば良いはず。
microSDを使いまわそうとして私は2回ほどやり直しました*2。
初期設定ウィザード
画面の指示に従えば特に問題ないはず。
もうちょっと綺麗な画像を撮りたいところですがしかたない*3。通常版のインストーラの流用だろうと思います。
タイミング障害なのかもしれませんが、地図から東京を選択してもタイムゾーン設定の画面から次へ進めませんでした。
前の画面に戻って「位置情報を有効にする」をONからOFFにした上で「Tokyo/Japan」と入力すれば次の画面に進めるようになりました。
もし同じ箇所で次に進めなくなるようであれば、一旦前の画面に戻ってみると良いのではないでしょうか。
毎回起きるのかどうか検証したわけではないので悪しからず。
デスクトップについて
デフォルトはWayland + mutter(?) + Gnome-shell。こんな感じ。
ちゃんとARMでWaylandしています。
日本語入力
悲しいことに日本語入力がibus+libkkc構成。
私の環境では日本語キーボードを接続しているにもかかわらずキーマップが英語キーボードとなってました。しかも初期状態日本語入力ON。しかもかな漢字変換エンジン側は日本語キーボードを前提にした設定になっているのでオンオフすらマウス操作で行う必要あり。
対処としては、正しいのかよくわかりませんが、直接入力用のキーボードとしてかな漢字変換なしの「日本語」キーボード*4を追加してデフォルトにします。
- デスクトップの背景部分を右クリック
- 設定をクリック
- 「Region & Language」をクリック
- ウィンドウ下段の入力ソースというエリアの左端の「+」をクリックし、「日本語」を追加。
- 真ん中にある不等号のようなボタンを操作して順序を設定
最終的に以下の画像のような状態になっていればOKなはず。
別解その1としてlibkkc
側の設定オプションで、「独自のキーマップを使う」という設定を有効にする方法もあります。上記の手順なしでも日本語キーマップになるはず。
別解その2として設定ファイル自体を変更する手もあるようですが、私は試していません。以下参照。
なお、キーボードの切り替え*5は「Super+Space」です。多分普通の日本語キーボードならWindowsキーが「Superキー」。ぶっちゃけfcitx
入れるのがいいかもしれません。
サウンド
Youtube で動画は再生できますが、公式サイトの記載通り音は鳴りません。メインラインのカーネルが対応してないとかなんとか。
スクリーンショット
デスクトップにログインすれば下記の方法でスクリーンショットが取れます。
制限事項
- ARM版のFedora はそもそも armv6 をサポートしてないので古いモデルはサポート外(Raspberry Pi Models A, A+, B (generation 1), Zero and Compute Module)
- x86_64対応は今回はリソースの関係でなし(Fedora 26 で対応するかも)
- 現時点では無線LAN非対応
- アナログポートおよびHDMI経由のサウンド再生は非サポート
気になった点など
- キーボードのリピート設定がおかしい
- 画面左上の「アクティビティ」をクリックすると画面左端のアイコンの横に輝線がちらつく
libkkc
で「カタカナ・ひらがな」キーの挙動がおかしい?- ログイン画面(gdm)のキーマップはどうなっているのか?
- やたらとGnome Shell がクラッシュする
試していませんが、パスワードに記号を含んでいるとすると、ログイン画面のキーマップ次第では大変面倒です。仮想コンソールとしては/ete/vconsole.conf
で設定できますが、GDMはどうするのでしょうかね?
一年ほど前に似たようなことを書いている方がすでにいるようで。
見た感じでは/etc/sysconfig/keyboard
は存在しないです。それと、一度ログインしてしまうとAlt
+Ctrl
+ファンクションキーで仮想コンソールに移動したくてもできないです。一瞬グレー背景の画面に切り替わりますが、いつものようにログインプロンプトの画面にはなりません。ログイン前の画面からは仮想コンソールにアクセスできるようです。
まとめ
冒頭にも書いた通り、普通に遅いというかもっさりです。他のデスクトップ環境をデフォルトにしているエディション(Fedora 風にいうとFedora Spin)もあるのでそっちの方はマシだろうとは思いますが。
正式版は11月中旬らしいですが、x86_64対応を楽しみにしつつ、来年のFedora 26 を待つのが良さそうな雰囲気です。
それでは。