『スラスラ読める JavaScriptふりがなプログラミング』(書評)
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過去記事にで言及したシリーズのJavascript版について。
実物を一通り読んでからの感想です。
概要
スラスラ読める JavaScript ふりがなプログラミング (ふりがなプログラミングシリーズ)
- 作者: リブロワークス,及川卓也
- 出版社/メーカー: インプレス
- 発売日: 2018/06/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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対象読者は言うまでもなくプログラミングを勉強しようと思っている人。特にプログラミング未経験者。
コンピューターの仕組みであるとか、オブジェクト志向関連の話は一切説明がない。初歩の初歩オンリー。
執筆会社サイト:『ふりがなプログラミング』シリーズのご紹介 – リブロワークス – LibroWorks ※ホスティング会社のトラブルで繋がりにくい模様
出版社サイト:スラスラ読める JavaScriptふりがなプログラミング - インプレスブックス
購入したのは紙媒体版の方です。
出版社のサイトでチャプター1がためし読みできるようになっています(記事執筆時点)。
本文の内容を紹介するにはKIndle版のほうがキャプチャしやすかったかなとちょっと後悔。
某イオンモールの大垣書店ではこの本の凄さを理解していないのか、平積みでも面陳でもない状態。チャンスなのに。
良いところ
以前の記事にも書いたとおり、「ふりがな」も素晴らしいですが、それだけではないです。
- 英語で表示されるエラーメッセージについての丁寧な解説
- 文と式の説明および説明図(p.130 )
- 変数名に使用できる文字の制限
地味に重要であるにもかかわらず、入門書の多くがスルーしているプログラミング言語における「文」と「式」。意外なことに図入りで説明している*1。 さりげなく変数名の制限理由を空白を入れないといけない箇所の説明と合わせて説明しているのも見事。
細かいところにかなり配慮がされています。
惜しいと思った点
良書なのは間違いないが、惜しいところについてはダメ出ししておく。
誤植
- 42下の画像:
input
ではなくprompt
- 42下の画像:
- 103 唐突にrange関数という単語が出てくる
同じシリーズのPython版の画像と文章が混ざっているのでしょうか。前後の説明なり画像はおかしくないのでさほど混乱しないとは思いますが。
疑問点
- p.29の演算子の一覧の表(ほとんど説明がなく提示しているだけ)
- HTMLのサンプルでわざわざ
dir
属性を記述している(無駄) - if文の説明で、
if ( ! isNaN( text) )
というように「数値に変換できないかどうか、の否定」という形式になっている(二重否定)
まず演算子の表(優先順位の表)ですが、ビットとか論理和、論理積の話はしていない。説明しないならしないと明記しておくべき。
演算子の優先順位を説明する関係で必要だけどビット演算の話は出てこないので付録に逃がしても良かったかも。
あとはif文の説明。説明の図と文章は丁寧なんだけどそもそも条件式の内容が初心者向きではない。isNaN
の挙動って初心者向きでしたっけ?
ここはちょっと気になったところ。他にスマートな書き方が無いですが、if文の説明の題材としては「数字かどうかの判定」の他にもいくらでもあると思いました。
改善を期待したいところ
判型が小さいのでページを開いたまま固定しにくい……。サンプルコードが短いので大した問題にはならないと思うけど。
ページの面積を大きくして、その分薄くするほうがページを開いたままにしやすいはずです。電子書籍版をタブレットで読みつつパソコンに入力、というスタイルがいいかも知れない。
本文の日本語の漢字にも読みを「ふりがな」として記載しておけば良かったのではないでしょうか。小学校4年生ぐらいでも理解できる子は結構いると思います。
まとめ
プログラミング未経験者の独学教材としては非常にいいです。本格的に勉強を始める前の最初の一歩として。
これ一冊では不十分ですが、この本を企画したリブロワークスさんの意図したとおり「入門書の入門書」としては素晴らしい本になっています。
*1:混乱させないためにあえて避けるのも一つの方法