書評:『ゲームを動かす技術と発想』
スポンサーリンク
- 作者: 堂前嘉樹
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2013/08/14
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
5月に50%オフで買ったやつ。
可もなく不可もなし、悪い本ではないけど、特別すごいことが書いてあるわけじゃない。
3Dグラフィック処理について、負荷軽減のヒント集としては悪くない。
本格的に3Dゲームを作ってみようと思った人が、専門書を読む前に読む本。最初のとっかかりとしては良書。
多分、同じようなコンセプトの本は他になさそうなので貴重ではある。
概要
前半がコンピューターのハードウェアの仕組み。後半がゲームにおける主に描画周りのテクニックを平易に解説している。
具体的なソースコードは記載されていないが、考え方を理解するには十分。ただ、2012年の本なので最近の話題は取り扱ってない。
- 固定レイアウト
- ごく一部を除いてソースコードは登場しない
- 処理速度を稼ぐためのノウハウ中心
- 索引込みで335ページ
- あとがきが無難すぎてつまらない
感想
中途半端の一言に尽きる。
想定読者のレベルが微妙。中学生でも理解できるないように思えるが、4章(特に4.5節)の2進数関連の説明が中途半端。
浮動小数点数についてはバイアス値*1の説明がないまま。
後半のCPU/GPUの負荷を軽減するノウハウの話は面白い。
ただ、クォータニオンとジンバルロックの説明はよくわからなかった。
前半はともかく後半については、ゲーム開発側の視点から、その機能が必要な背景を説明しながら紹介している。
GPUの機能について「なぜ」と「どういうメリット」があるかをしっかり説明しているところがポイント。
ただ単にGPUの機能を列挙したり、項目別に説明されるよりは格段にわかりやすい。
まとめ
ゲーム制作に興味がある中学生、高校生あたりが読むにはいい本ではないかと思った。
もちろん二進数の演算とかその辺は他の本でフォローする前提で。
価格と内容のバランスからすると、どちらかというと新書として出して欲しい内容だろうと思う。
*1:指数部に127をバイアスする