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ここではないどこかへ

公共図書館に対する不満の解消策としてのKindle Unlimited


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昨日(8月3日)付で始まりました、Kindle Unlimited 。月額980円(一ヶ月目は無料)で対象になっている本・雑誌・コミックが読み放題というサービスです。

ascii.jp

てっきり専門書は対象外だろうと思っていましたが、意外なことに専門書でも対象になっているものがかなりあります。

私が今、興味を持っている分野だけでも、 ディジタル画像処理 [改訂新版]OpenCV 3 プログラミングブックの専門書が対象になっていますなっていましたが、対象外になっています。しょんぼりへにょん*1、です。

恐ろしいことに、ほんの数ヶ月前に発売されたスターティングGo言語も対象になっていますなっていましたが、一週間で対象から外れて20%に…。 難点はIT系の専門書では定番のオライリーとか技術評論社、達人出版会あたりが参加していないところでしょうか。

[2016/08/12 追記] 一ヶ月単位で対象書籍を入れ替えるぐらいのことはあり得ると思っていました。残念なことに一週間で更新されているようです。本との出会いは一期一会、というのを聞いたことがありますが、電子書籍でもそんな感じですね。買えないわけではないですが、ポケットマネーは有限です…。

参考:Kindle Unlimitedの読める本が大幅に入れ替わった様だ(-_-;良書がことごとく外されている(;_;) - マネー報道 MoneyReport

本を購入したけど本棚の飾りになっていたりとか、一度も読まずに手放したとしても本屋さんはお金は返してくれませんが、月額980円なら余裕で元を取れます。良い時代になったと思います。

既存の図書館や書籍の流通システムへの破壊的イノベーションとしても脅威深いですが、Amazonは全力で日本人の可処分所得ならぬ可処分時間を取りに来ているようです。1日は24時間しかないというのに。

スタート時点では和書は12万冊以上、洋書は120万冊以上ということなので、和書だけならもはや小さな地方の図書館(分館レベル)です。十分に電子図書館と呼んでいいレベルではないでしょうか。

ASCII.jpの記事では、会員制の貸本屋と書かれていますが、参加する出版社が増えれば完全にKindle Unlimited という名の電子図書館、です。

図書館はどうあるべきか、という観点からすれば十分ではないかもしれませんが、ほとんどの利用者のニーズは満たせるはずです。間違いなくポテンシャルは十分です。 レファレンスサービスなどの問題は残りますが、書籍に対するレビューコメントと関連商品のレコメンドを合わせれば、擬似的なレファレンスサービスと言えなくはないはず。

専門書の数が少ないのは仕方ないところですが、一般的な都道府県や市町村の運営する図書館とて同じはずです。

少なくとも普通の人が公営の図書館に感じる不満をほぼ解決しているという点は見逃せません*2

不満な点は、主に3点。 そもそも借りたい本が置いていない 借りたい本があったとしてもずっと貸出中 借りれそうな本があったとしても平日いけない

市立図書館って必要なんだろうか - ゆとりずむ

ひとつめの不満はKindle Unlimitedにおいても今後の課題でしょうが、残りの不満は解決しているのではないでしょうか。電子データはディスクの空き容量の許す限り無限にコピーできますから予約は不要。インターネット接続があれば24時間365日アクセス可能です。

今後、対象書籍が拡大していけば、自治体に住民税を払って公営図書館を運営してもらう必要性が薄れてくるだろうと思います。 紙媒体から電子書籍へのシフトという変化に対して、頑なに従来型の図書館を運営するとすれば、ですが。

下手すると住民税を払うよりAmazonに月額料金を払う方がいいことになりませんか。

パソコンを持っていない低所得層にKindle端末を貸し出すなど行政による支援の余地がないとは言いませんが……。


図書館は単なる貸本屋ではないという意見には同意しますが、九州の某図書館とか、地方創生の目玉としてハコモノを作る口実にするよりは格段に良いはずです。

オーディオブックの定額聞き放題サービスのAudibleと合わせて今後のコンテツの充実に期待、です。

あまりグダグダと書くと収拾がつかないのでひとまずここまで。


最近の電子出版とか図書館関係の情勢については以下の書籍も参考になるはずです。

破壊的イノベーションといえばこれですね、一応。

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

あまり知られてないのかもしれませんが、これも。

イノベーション 破壊と共鳴

イノベーション 破壊と共鳴

それではまた。


*1:元ネタはこっち

*2:引用元が普通の人かは議論しない

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