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ここではないどこかへ

Kindle Unlimitedで読んだ本と簡単な書評(2016年9月前半)


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月額料金の元は取れているけど、可処分時間はだだもれ状態です。

本当の意味で元が取れるかどうかは、本を得て読んだ知識をどれだけ活用できるかにかかっているように思います。

今月はNextPublishingという金の鉱脈を見つけたのでかなり偏っています。

基本的に10冊制限の関係で一回読んで終わりになっています。


ビジネス書・一般

『これだから電子書籍は凄い!!』

2014年のKindleベストセラー作家(?)の方の本。電子書籍を書いた経験談とタイトルのつけ方などのちょっとしたノウハウ。

読みやすい。電子書籍を発行しようと考えているならタイトルのつけ方の箇所だけでも読む価値はある。


『日本はなぜ負けるのか インターネットが創り出す21世紀の経済力学』

[asin:B01GJ6VA5M:detail]

ざっくり言うと、インターネットによる社会構造の変化と規制緩和を訴えている本。非IT系の企業にIT系の技術者が少ないことを問題視しているのは珍しいのでは。
それとIT業界以外の業界における多重下請け構造についても問題視している。IT業界の多重下請け構造の闇については十分理解しているが、言われてみれば(少なくとも建築業界など)他の業界だからといって問題がないとは言えない。

規制緩和については、事業者保護 vs. 消費者保護 というのがポイントだと思う。少なくともアメリカは後者に舵を切っているみたいに読める。日本の岩盤規制、あるいは法体系そのものが(天皇を筆頭にした)既得権益者、事業者を守ることに重点を置くシステムになっているように思える。それが日本の停滞の理由ではないか。

本書を読んだ上での私の理解を要約すると以下のようになる。

インターネットによる社会構造の変化により、資本家と労働者の対立構造を破壊し、消費者が提供者(≒事業者)になりうる状況では既得権益を守ろうとすればするほど社会の発展を阻害する結果をもたらす。

結局のところ、イノベーションという単語を技術革新と訳したのがそもそもの誤りではないかと思う。技術がもたらす意識変革ぐらいに訳すべきだったと思う。

『大前研一 世界を知る6つの特別講義』

内容が多岐にわたっているので要約も説明もしづらい。

無理やりまとめると、『今(2015年あるいはそれ以前の時点)の世界の潮流はこうだ。お前ら危機感持たんかい。茹でガエルか阿呆』という感じではないか。

危機感が一番のキーワード。

いくつか誤解していた部分もあったし、勉強になった。日本の現状についてはよくこれで国が財政破綻しないものだと思った。分析は素晴らしいが、果たしてこれをどう活かすか。

提言については今ひとつ鋭さに欠けるように思う。


『日本のIT なんか変? 次世代のデジタル産業を担う若者たちへ』

IT Readers というIT企業向けの限定配布の雑誌のコラムを書籍化したもの。著者は建築業からからITシステム分野に移った(企業内のITシステム部門の担当にへ移動という経歴?)方だそうで。

個人では購読できないんですよ、この雑誌。某社にいた頃は確か図書室*1にあったんですが。

半分IT業界、半分建築みたいな立ち位置で書かれているのでなかなか面白い。特に前半は2008年あたりの時事ネタを扱ったコラムなど、隔世の感がある。

後半へ行くほど説教くさいのが難点。

『エースと呼ばれる人は何をしているのか』

エースと呼ばれる人は何をしているのか

エースと呼ばれる人は何をしているのか

この著者、面白いというのが正直な感想。AKB48と「モーニング娘。」の振り付けで有名になった人。

正直言うとアイドルの顔と名前が一致しないので、具体例を出されてもよくわかならなかった。

内容はざっくり言うと、「自分に自信を持て、自分のポジションを確立しろ、群れるな」みたいなやつ。あと前向き、だったかな?
読みやすいけど軽くてイマイチ響かない。

某アイドルの裏話に興味があるなら面白いと思う。

『 加算混合の発想 硬直思考からどう脱するか』

大前研一氏の若かりし日の名著。1980年代初版の本。

さすがに内容が古いのと、他の本を先に読みたくなったので途中離脱。

いかにも元技術者という視点、文章で面白い。経済系のコンサルタントで経営者目線の話が多い大前研一氏の原点が垣間見える感じ。また機会があればじっくり読みたい。

『漫画原作者は一体「何」を書いているのか』

漫画原作者は一体「何」を書いているのか

漫画原作者は一体「何」を書いているのか

漫画原作者のブログ記事をまとめたもの。この手の職業別の業界裏話は(部外者からすれば)新鮮で面白い。

サンデーの新編集長の宣言が云々という話が掲載されている。それはいいのだがその「宣言」そのものを引用しておいて欲しかった。

サンデーを読んでいない人間からするとなんか熱血タイプの独裁編集長が誕生したということしかわからない。

「マンガ文化最高!! 守り抜かなぎゃ!!」みたいな主張は正直うんざりする。守りたいのは自分の食い扶持でしょう、みたいな。

気持ちはわかるが「日本語」という言葉が喪われない限り、出版社や雑誌が滅びようとも文化は残るはず。食い扶持は消えるかもしれんけどね。

ベーシックインカム賛成派からするとそういう文化に対する固執は時代錯誤にしか見えない。

『著作権のことをきちんと知りたい人のための本』

会話体の文章にところどころ弁護士の先生のツッコミが入る。各トピックごとの4コマ漫画が面白い。

非常にわかりやすいと思う。

対象読者の年代がイマイチよくわからないのがネック。苦痛ではないけど30代後半とか40代あたりを狙っているのだろうか。

そういえばその昔、萌える法律読本というのがあったのを思い出した。

技術(or IT)

『未来型国家エストニアの挑戦  電子政府がひらく世界』

未来型国家エストニアの挑戦  電子政府がひらく世界 (NextPublishing)

未来型国家エストニアの挑戦  電子政府がひらく世界 (NextPublishing)

分類は若干迷ったがこっちで。

とにかくすごいの一言に尽きる。マイナンバーでまごついてる日本とは比較にならない。

国民全体にIDカードを持たせること自体もそうだし、政府の情報公開スタンスや業務の効率化など日本には無理だと思う。日本の場合、国民のITリテラシーの低さは容易には改善できないだろうと思った。まして国民全体に危機感が欠如している日本でこう言う先進的な取り組みは難しい。

そもそも日本のITベンダ社内ですらなかなか効率化が進んでいないんだから。

何はともあれ一度行ってみたい国。

エストニアの電子政府のようなコンセプトが進んでいくと、国と国民のあり方も変化していくのではないかと思う。IDカードによる電子証明書で本人確認ができるなら、 どこに住んでいるかはあまり重要ではなくなっていくはず。国土にとらわれない国家が誕生しないだろうか?

そうやって突き詰めていく度、国家というものが携帯電話会社のようなサービス事業者に変化していくのではないかとワクワクしている。

仕事で使える!Google Cloud Platform 最新クラウドインフラ導入マニュアル

Google Cloud Platform の解説と、アカウント登録からGoogle Compute Engine のインスタンスの立ち上げまで。

文章はわかりやすい。技術書としてはちょっと物足りないが概要としては十分か。導入検討のために上司を説得したい時には参考資料として役に立ちそう。


『仕事で使える!Googleドライブ クラウドストレージ徹底活用術』

まあ一言で言うとGoogle最強伝説。

変なこだわりを持たずにGoogle帝国の軍門に降るしかたない……。そんな感じ。

文章は普通で読みやすい。電子書籍としては表が画像でないのでポイント高い。

監査系の機能とか知らない機能があったので勉強になった。

不便な社内システムに不満を持った社員が勝手に持ち出し禁止の資料を私物のUSBメモリやHDDドライブにコピーしたり、あるいはよそのクラウドサービスにアップロードされるよりは 断然マシ。

普通に便利だよね、Google 関連サービス。だからこそタチが悪いんだけど。

まあ複数メールアドレスを持つとか、ブラウザを使い分けて検索とそれ以外を極力分けるとか、他社のサービスで代替できる場合はそっちを使うとか自衛策はある。

雑誌

『Mac Fan 2016年10月号』

Mac Fan 2016年10月号 [雑誌]

Mac Fan 2016年10月号 [雑誌]

語学

『英語のワナにはまるな! これが正しい選択だ!!』

英語のワナにはまるな! これが正しい選択だ!! impress QuickBooks

英語のワナにはまるな! これが正しい選択だ!! impress QuickBooks

  • 作者: ジェームス・M・バーダマン
  • 出版社/メーカー: IBCパブリッシング(インプレス)
  • 発売日: 2014/12/17
  • メディア: Kindle版
  • この商品を含むブログを見る

典型的な日本人の間違いを集めて英語話者の発想を解説している本。Q&A形式なのはいいけど読むのに時間ががかる。

Kindleではなく紙媒体の書籍になりますが、単語の使い分けは『イメージと語源でよくわかる 似ている英単語使い分けBOOK』を読んでおくのがオススメです。単語ごとの違いを説明したイラストと語源の解説が充実していて理解しやすいです。

翻訳関連

『技術翻訳 奥義と裏技 (1)』

技術翻訳 奥義と裏技 (1): 翻訳とは 無生物主語構文

技術翻訳 奥義と裏技 (1): 翻訳とは 無生物主語構文

いかにも翻訳調という感じの文章を自然な日本語にするためのノウハウ本。シリーズ構成になっているうちの一冊。過去に出版された本の内容を再構成したものらしい。

ぶっちゃけこのシリーズを月に二冊ずつ読めばKindle Unlimited の月額料金を普通に回収できてしまう。

読むのは大変だけど、翻訳に興味があるなら読んで損はなさそう。というか(英語の)翻訳者を目指すなら必須では?

関連シリーズ:翻訳関連のノウハウ本

まとめ

同じ著者の他の本を読もうと思ったケースがいくつかありますが、Kindle Unlimited に消極的な会社の本だったり。

Kindle Unlimitedに積極的な出版社さんに還元しようとするなら一度読んだ本を単品で買うのが一番なんでしょうけれど。

一度読んだ本を何度も読むのは実は苦手で、一回目はサクサク読めても二回目は脳が受付拒否することがあります。声に出して読み上げて、録音して耳で聴くのも一つの手ですがいかんせん面倒だったり。Voice Overの読み上げはイマイチ違和感ありますし*2

そんなこんなで読書の秋。

みなさま良い読書ライフを。

*1:いっちょ前に図書館を名乗っていたがメインの工場のそれには劣る

*2:まだ中耳炎が完治していないこともあって音声読み上げは聞き取りづらいです。

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