iOS アプリ開発入門本いろいろ(Swift 3 / Xcode 8 )
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今年もiOS アプリ入門本の出版シーズン到来のようです。
[2017/10/07 追記]
現在のIOS のバージョンは11で、開発ツールはXcode 9.x、プログラミング言語としてはSwift 4.x、です。
このページで紹介している本は一世代古く、本の記述通りにしても動かないケースがあります。
すでに改訂版が予約受付中なのでそちらを購入することをお勧めします。
[追記ここまで]
さすがに初級向けの本を買う気はあまりないですが、過去に関連本の紹介記事(比較記事)を書いているので全くスルーするのも如何なものかと。
本屋で現物確認したものと過去に購入したものの改訂版を中心に紹介してみます。
他にも入門書が2冊ほど存在することを認識してはいますが、発売時期、タイトルから判断して紹介していません。
一通り出揃ったので記事の構成を変えるました。あくまでも個人の主観によるものです。
プログラミング未経験者向け
プログラミングの経験がない人向けの本。もしくはプログラミング自体の経験はあるが、できるだけ親切な参考書が欲しい人向け。
『これからつくる iPhoneアプリ開発入門 ~Swiftではじめるプログラミングの第一歩~ Swift3/Xcode8対応』

これからつくる iPhoneアプリ開発入門 ~Swiftではじめるプログラミングの第一歩~
- 作者: 藤治仁,徳弘佑衣,小林加奈子,小林由憲
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2016/10/26
- メディア: 単行本
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- 公式サポートページ:これからつくるiPhoneアプリ開発入門 Swiftではじめるプログラミングの第一歩 公式サポートサイト
- 出版社サイト:SBクリエイティブ:これからつくる iPhoneアプリ開発入門
iOSアプリ開発の未経験者向け。まず手を動かそうというスタイルの入門書。すでに固定レイアウトだけどKindle版が出てる。
サンプルアプリもタイマーアプリからカメラアプリ、WebAPIを利用するものまで幅広い(計6本)。非常にバランスが良い内容になっている。
書店で見た印象としては、プログラミング未経験者向けの講座の教科書としては非常に良さそう。 パート1とパート2の二部構成で、概ね丸二日あれば全体を修了できるような構成になっていて、セミナー教材としての利用をかなり意識しているように見える。
気になった点としてはメソッドの引数を列挙した表の説明文がリファレンスの直訳になっている点。そのままではわかりにくいのではないかと思った。
[2016/12/05 追記]
AppStoreへのアップロード方法は載ってなかったはず。
『やさしくはじめるiPhoneアプリ作りの教科書』

やさしくはじめるiPhoneアプリ作りの教科書 【Swift 3&Xcode 8.2対応】 (教科書シリーズ)
- 作者: 森巧尚,まつむらまきお
- 出版社/メーカー: マイナビ出版
- 発売日: 2017/02/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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Amazonで予約可能な状態にはなっている。 発売済み。Kindle版は固定レイアウト。
評判の良かった著者によるもの。以前とタイトルが少し違うので構成が旧版と変わるのかも。
前著と比較すると、ページ数がかなり減っている。 内容をかなり絞ってわかりやすい点を中心にしたのだろうと思う。前著の特色の一つであった巻末付録は今回も似たような内容で収録されている。
どの部分を削ったのか、検証はしてない。
ページ数が少ないのでとりあえず一冊最後までやりきる、という意味ではいいと思う。ただ、この一冊では物足りないと感じて、結局別の本を買うことになるんじゃないだろうか。
『iPhoneアプリ開発講座 はじめてのSwift』

- 作者: 諏訪悠紀
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2016/12/01
- メディア: 単行本
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今のところKindle 版はなし。360ページとやや少なめ。
著者ご本人による紹介記事:Swift 入門書「iPhoneアプリ開発講座 はじめてのSwift」を執筆しました! | Developers.IO
本文の構成はプログラミング言語としてのSwiftの説明が三分の二ぐらいで、残りがアプリのサンプルの解説(サンプルアプリは計5本)。
先に理論というか、プログラミング言語と抽象的な概念を説明してから実例としてサンプルアプリの開設に入るという典型的な構成です。最初に紹介している「これからつくる iPhoneアプリ開発入門」とはほぼ逆のコンセプト。
一番の差別化ポイントはご本人による紹介にさりげなく書いてあるとおり、説明のためのイラストが多数掲載されている点でしょうか。
はじめてiPhoneアプリを作る人にとって、"何がわからないか?"に徹底的にこだわり、 400点以上のキャプチャ図と200点以上のイラストを使って懇切丁寧に解説しました。
(紹介記事より引用)
本当に200点以上のイラストかどうかは数えていないのでわかりませんが、プログラミングの概念を説明するための図がたくさん入っているのは間違いないです。
例えば変数や配列を説明するのの箱と矢印のイラスト、条件分岐などの処理の流れなどイメージを持たせるためのイラスト、ですね。
操作手順を説明するためのスクリーショット(画面のキャプチャ) が多い本はたくさんありますが、説明のためのイラストにここまで力を入れている本は珍しいはず。
きっと組版担当と装丁を担当された方は苦労されたのではないかと思います。図が大量にある割にページ数は360ページしかありません。ほぼ全ページに何らかの画像が入っているはずです。図と本文の対応関係のチェックなど、校正作業のことを考えるとゾッとしますが。
ページ数の割に図が多いですが、図の周りに文章を回り込ませているので特に内容が薄いということはないです。同じ出版社の他の入門書とはうまく差別化できているのではないでしょうか。
前述の「これからつくる iPhoneアプリ開発入門」と比較すると、操作手順を解説しているページは少なめ。
書いていないトピックとしては、カメラを使うアプリと、AppStoreへのアップロード方法など。
『ノンプログラマーのためのSwift教室 ゼロから作ろう! iPhoneアプリ』

ノンプログラマーのためのSwiftブック ゼロから作ろう! iPhoneアプリ
- 作者: 尾川一行,中川聡,?橋佑一朗
- 出版社/メーカー: マイナビ出版
- 発売日: 2016/12/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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プログラミング未経験者向け。専門学校の非常勤講師の方が書いてる。この記事で紹介している書籍の中で最小のページ数。
非常に大胆に割り切った構成の本。プログラミング言語としてのSwiftの解説はかなり割り切ってXcodeの操作とサンプルアプリの解説に特化している。
間違いなく読者を選ぶタイプの本です。
読者に「自分で入力したプログラムが自分のiPhoneで動く」、という体験をさせることに重点を置いているようです。
第2章で「はじめに知っておきたいSwiftの流儀」と称して文法のさわりとコーディング規約(入力スタイルか?)を解説し、そのあとは個別のアプリの解説というスタイル。
サンプルアプリ用の画像素材*1は見た感じかっこいいです。提供されている画像をXcodeのプロジェクトに組み込むとか、AutoLayoutの設定周りは丁寧に解説されている印象。
紹介文によると、
このプログラミング言語は奥が深いので、まずはお手本通り間違いなくソースコードを入力し、iPhoneアプリを動かすことを第一に目指してください。
と書いているのでサンプルを示した後で理屈を紹介するタイプ文字通り写経して実際に動かすことがメインのようです。
操作方法の説明ページ内の、Xcodeのスクリーンショットが他より見やすいとは思いました。
- 出版社詳細ページ:ノンプログラマーのためのSwiftブック ゼロから作ろう! iPhoneアプリ | マイナビブックス
- サポートページ:ノンプログラマーのためのSwiftブック ゼロから作ろう! iPhoneアプリ | マイナビブックス
これまでにSwift or iOS 向けの本を書いた実績はないみたいなので関連本の著者としては新規参入組。
※ Kindle版は提供されていないが、マイナビのページからPDF形式が購入できる。
プログラミング経験者向け
ある程度、他のプログラミング言語の経験はあるが、iOS向けアプリは作ったことはない人向け。
『詳細! Swift 3 iPhoneアプリ開発 入門ノート』

詳細! Swift 3 iPhoneアプリ開発 入門ノート Swift3 + Xcode 8対応
- 作者: 大重美幸
- 出版社/メーカー: ソーテック社
- 発売日: 2016/11/05
- メディア: 単行本
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※ 改訂版あり
定番の解説書の改訂版。どちらかというと他のプログラミング言語の経験者向け。 640ページと圧倒的なボリューム(紹介している中では最多)。
この出版社はKindle版の発売が遅い印象だったんですが早くもKindle版が出ています(固定レイアウト)。
サポートサイト:詳細! Swift 3 iPhoneアプリ開発 入門ノート サポートサイト
特徴は、以下のとおり。
- 旧版と同じく白地に青と黒の2色刷り。
- サンプル数は旧版の347から360に増加
- カバー範囲が広いのである程度はリファレンスとしても
内容はいいと思うのだけど、二色刷りなので本の装丁(見た目)としては他と比べると少し見劣りしてしまう。ページ数が多い分、誤植も多かったりするのでサポートページの正誤訂正を確認することをお勧めします。
基本的に解説する項目ごとに簡単なサンプルを解説し、そのサンプルに補足的な項目を加えていくスタイルなので360という数字に特に意味はないです。
旧版と大きく章構成は変化してないようです。Swift 3/Xcode 8への対応が中心。クラス名や定数のプレフィックスの変更への対応ぐらいに見える。
サンプルコードの新旧比較を取ろうかと思いましたが、フォルダ名の数字がズレていて面倒なのでやめました。
旧版を持っている立場からすると躊躇しますね。Swift 3対応のUIKitのリファレンス本とか逆引き系の本の電子版が出版されるならそちらを買いたいところです。
『本気ではじめるiPhoneアプリ作り Xcode 8.x+Swift 3.x対応』

本気ではじめるiPhoneアプリ作り Xcode 8.x+Swift 3.x対応 (ヤフー黒帯シリーズ)
- 作者: 西磨翁
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2016/12/10
- メディア: 単行本
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※ 改訂版あり
Kindle版もリリース済み(固定レイアウト)。ページ数は432ページと紹介している中で二番目三番目。旧版よりちょっと増えた。
- 出版社のページ:SBクリエイティブ:本気ではじめるiPhoneアプリ作り Xcode 8.x+Swift 3.x対応
- 著者コメント:書籍「本気ではじめるiPhoneアプリ作り」のXcode8.x+Swift3.x対応版を執筆しました - Yahoo! JAPAN Tech Blog
他のプログラミング言語の経験はあるけど、iOS向けは未経験という層がターゲット。
基本構成は旧版と同じ。サンプルアプリは計4本。
他の入門書との差別化ポイントは以下の通り。
- 前半でプログラミング言語の説明とUI部品の解説、後半でサンプルアプリのコードを解説する二部構成
- iOSシミュレーターの説明が比較的詳しい
- アプリのアイコンの作成法(Sketch 3)
- App Storeへのアップロード方法の解説
YahooのAPIを使うアプリの関係でYahoo のIDを作る必要あり。相変わらずカメラ機能を使うアプリについては記載なし。
『TECHNICAL MASTER はじめてのiOSアプリ開発 第2版』

TECHNICAL MASTER はじめてのiOSアプリ開発 第2版 Xcode 8+Swift 3対応
- 作者: 長谷川智希,デジタルサーカス株式会社
- 出版社/メーカー: 秀和システム
- 発売日: 2017/03/04
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
電子書籍版はなし。ページ数500ページ越え。
最初に簡単なWebブラウザアプリを作ったあと、Swift の文法を解説。その後はWeb APIを使って飲食店の情報を調べるアプリにどんどん機能を追加していくという構成。
実質的に一つのアプリの作成を通して、アプリ開発に必要なノウハウを一通り解説する書籍。
他の書籍との差別化ポイントは、以下の通り。
※ CocoaPodsはmacOS/iOS 用のライブラリ管理ツール。
書いていない事柄としてはジェスチャー操作周りぐらい。
他のどの入門書よりもアプリを実際にリリースするという点にフォーカスしていると思う。
秀和システムという出版社は個人的に良いイメージがない*2ので敬遠していましたが、この本は組版・装丁も良さげ。
著者のWebサイト:書籍「はじめてのiOSアプリ開発」第2版が出ました – 長谷川智希 @tomzoh blog
出版社ページ:TECHNICAL MASTER はじめてのiOSアプリ開発 第2版 Xcode 8+Swift 3対応|書籍情報|秀和システム
未発売(執筆中?)
詳細不詳
執筆開始のアナウンスのみ。
参考:【重大発表】iPhoneアプリ開発本を執筆して、C&R研究所さんから出版します! | はれときどきくもりZ
文法書
定番

- 作者: 荻原剛志
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2016/12/27
- メディア: 単行本
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入門書を読んでさらにSwift を学ぶなら必須。
これも定番。今のところ紙媒体のみ。第二版の場合は1月末か2月末にリフロー形式でKindle版が発売されたので今回も同じだろうと予想。3月になってもKindle版のアナウンスはなし。
Kindle版待ち(検索可能なPDFが理想だけど)。
英語の本買ったし別にいいかな。
理解を深めるために

Swift実践入門 ── 直感的な文法と安全性を兼ね備えた言語 (WEB+DB PRESS plus)
- 作者: 石川洋資,西山勇世
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2017/02/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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文法書というより他の言語のEffective XXX(XXXはプログラミング言語の名称)シリーズに近い内容かもしれない。
詳細不明。Swiftの文法のうち、高度な記法(記述?)を使ってよりスマートなコードを目指しましょうとか?
技術評論社から出版されるということはPDF形式が入手できそうなので期待している。
その他関連本
関連本も記載しておきます。
『iPhone&Androidアプリ内課金プログラミング完全ガイド』

iPhone&Androidアプリ内課金プログラミング完全ガイド 第2版 (Smart Mobile Developer)
- 作者: 小川晃央,加藤勝也,瀬戸健二
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2017/01/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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タイトル通りアプリ内課金についての本。旧版は達人出版会から電子書籍が買えたけど、第2版については情報なし。
まだ実物を見てない。
Kindle 版購入後にPDFが買えるようになっていてとても悲しいです。
Amazonのレビュー欄にある通り、収録されたソースコードに扱いに注意が必要。課金アプリのためのAPIの使い方を解説する本なのに「個人で使用する以外に利用することはできません」と書いてある*3。
まとめ
今から手を出すなら「これからつくる iPhoneアプリ開発入門」が未経験者に優しいと思います。
理屈の理解に重点を置きたいなら「iPhoneアプリ開発講座 はじめてのSwift 」の方が説明のイラストが多いので良いかと思います。この2冊はコンセプトがそれぞれ真逆なので。
大重さんの方は手堅くまとめてるんだろうけど未経験だとちょっとしんどい。ページ数も他より多いし。
作りたいアプリのイメージがはっきりしていて、アプリのリリースまで本気でやりたいなら『はじめてのiOSアプリ開発 第2版』もなかなか良い印象です。
iOSアプリ開発の入門本を書く著者陣も淘汰されているのかな。Swiftビギナーズ勉強会とクラスメソッドの方が新規参入組。
というか、同じ出版社(SBクリエイティブ)から入門本出し過ぎ。ちゃんと差別化はするんだろうけど、中級者向けとか、もう少し尖った内容の本もお願いしたい。
気づいた点など何かあれば随時追記します。
それではでは。