今日も微速転進

ここではないどこかへ

iPod touch(第6世代)よ、お前もか……

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おお、(バッテリが)ふくらんでしまうとは、なさけない……


まだ修理に申し込んだだけなので確定ではありませんが。

状況

いつ頃からかは不明ですが、ポケットからiPod touchを取り出そうとして画面左端のあたりに引っかかりを感じてよく見ると、金属部分とプラスチックの隙間に段差があるような感じ。

しげしげと眺めると、どうも画面中央左端が浮いている……。しかも画面左端を軽く押すとへこむ。

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よく見ると音量ボタンの左側が微妙に白い部分の面積が膨らんでいる。


中のバッテリが膨張して、内部から本体をこじ開けるような力がかかってるのかと推測。

とりあえずサポートへ

iCloud(AppleID)からサインアウトして電源オフ。保証期間過ぎてるので有償修理を覚悟しつつAppleのWebページへ。

サイトの案内に従って症状を検索するも該当なしなので本体の損傷扱いで「後日電話します」を選択。

空き時間に電話した結果、バッテリ交換扱いになるか、本体交換になるかは調べてみないとわからないが、修理に出すことに。

修理依頼

とりあえず宅配便で引き取り修理。

修理から返送されてくるまで待機。 < イマココ

修理完了後は受け取り時に代金引換の予定。

  • バッテリのみ交換の場合:7,800円プラス税(見積額は ¥8,424)
  • 他の部品にダメージがあった場合:13,400円プラス税

バッテリの膨張で他の部品がダメージを受けていないことを祈るのみです。

ヤマト運輸の勇猛ぶり(?)

さて、宅配便による引き取りですが……。まさかここでネタを提供しますと言わんばかりの斜め上の対応。

普通は梱包用の箱と伝票持ってくるだろうと思ってたら、伝票のみでブツを剥き出しで引き取ろうとするという横着っぷり*1


落っことしたり途中で傷がついたらどうするつもりなんだよ、無梱包状態で手渡しって。

勇猛すぎるよ、佐川かよ。


内心、エレベーター降りて戻ってくるの面倒だろうなあと思いつつ、梱包用の箱を持ってくるように依頼*2


待つこと数分、戻ってきたヤマト運輸のドライバーさんの手には梱包用の箱と伝票。

精密機器用の、衝撃吸収用のフィルムのついた段ボールに挟まれて箱の中に封印されるiPod touch

無事に(?)、ドナドナされていきました。

佐川ならともかく、びっくりしましたよ。契約通りに仕事してください。いや割とマジで。

そんなこんなで

Apple Care 入っとけばよかったかなあと思いつつ、購入後1年3ヶ月ぐらいなんでまあ頑張った方かな。

充電しながらPodcast再生したり、Youtubeでミクメドレー再生とかぐらいで激しく発熱させるような使い方(ゲームとか)はしてないはず。保証期間内に壊れなかったのはさすがと いうべきなんでしょう。


ちょっと痛い出費ですが、安く済むことを祈りましょう。

それでは。

*1:名古屋でパソコンを送るときにもこんな感じで専用の箱は集配所にありますと言って本体剥き出しで運んでいかれたことあり。まあ会社の寮の裏がヤマト運輸の集配拠点だったのでセーフかと思ったけど。

*2:荷物を渡す側としては当然でしょうよ

Kindle Unlimited ふりかえり(2017年1月)

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先月に引き続き。


英語関連

なんだかんだで英語関連は豊作。月額料金の元を取るという意味では何冊か英語学習系の本を読むだけでいい。

『TOEIC300点からの海外転職: 海外移住を手に入れろ!』

TOEIC300点からの海外転職: 海外移住を手に入れろ!

TOEIC300点からの海外転職: 海外移住を手に入れろ!

著者の海外転職体験談。文系大学を卒業後、北陸先端科学技術大学院大学に進学して技術者として就職。そこからネットワーク技術者として渡米後、ソフトウェア開発者にジョブチェンジ(クラスチェンジ?)したらしい。

アメリカの転職事情など著者の知人の経験談なども含めて解説しているので非常に参考になる。どうしても体験談は特定の事例に偏るので、その辺は非常に良いと思う。

『英語は独学に限る: 独学英語でロボットを世界に売った男の英語独修術』

英語は独学に限る: 独学英語でロボットを世界に売った男の英語独修術

英語は独学に限る: 独学英語でロボットを世界に売った男の英語独修術

これまで英語習得ノウハウ本の中では一番面白く、かつ説得力がある。難点は紹介されている教材が古いこと、または入手不能。

著者の主張を踏まえた英語教材を開発(というかモダンな形式での改定?)して普通の販売ルートで販売して欲しいところ。知名度の低い教材販売会社経由ではなくて、ね。

本の内容は、著者の生い立ち、英語学習歴とビジネスマンとしての経歴の紹介+著者の英語学習ノウハウ。戦後の混乱期を生き抜いた方なので実に興味深い。

発音を重要視しているのと、多読を進めているのが特徴。Google日本法人の元社長だった方の英語学習ノウハウの本と主張が似ている部分がある。

いくつか引用しておく。

(前略)辞書を引くだけでもううんざりして、英語の勉強を続けるのが嫌になってしまうのだった。  いったいこの先いつまでこのように辞書を引くという面倒な作業を続けなくてはいけないのかと暗澹(あんたん)とした気持ちで考えたとき、ここから逃げるには単語を一気呵成に丸覚えしてしまうほかはないという思いつきが浮かんだ。
(中略)これから先いちいち辞書を引く面倒さよりも、いっとき我慢して丸暗記をするほうがまだましなように思えたのである。(位置No. 253、省略は引用者)

辞書引くのが嫌なら一気に覚えてしまえってのはすごい発想。


しかしよくよく見ると、単語の意味はたくさんあるようでも、基本となる原義があってそこから連想ゲームのようにいろいろな意味が派生してできていることに気が付いたのである。だからその単語の基本的な意味をきちんとつかんで、その連想のパターンをのみ込めば、あとは一を聞いて十を知るという要領で覚えればよかった。意味もなく丸暗記をする必要はなかったのである。(位置No. 274)

あと発音に関して以下のような観点は他の本では記載がなかったと思う。

  • 英語の発音において、口の形は8パターン
  • 英語の発音において、下の形(位置)も8パターン
  • 口の形、舌の形の組み合わせで、8x8=64のうち、英語で使用される音声要素は49通り

日本人がしゃべる英語はジャパニッシュ・イングリッシュといわれるが、その特徴の一つは子音だけを発音することが苦手で、子音の後に母音を付けてしまうことだ。これは日本語とポリネシア語にしかないといわれる発声習慣のためである。また口をあまり動かさないでしゃべるので、英語の発音にきびきびしたところがないことももう一つの特徴だ。日本語をしゃべるとき口をあまり動かさないでしゃべるためで、英語をしゃべるときも日本語の習慣が残ってしまうのである。(位置No. 1339)

ポリネシアと共通というのは興味深い。ネイティブの口の動きを見ていると、あまり水平方向には動かないように見えるが、顔全体の表情筋の動きがダイナミックだという印象なのでこれは納得。

結局、自分の教材の宣伝みたいになっているのが残念なところ。

『3つの基本ルール+αで英語の冠詞はここまで簡単になる』

3つの基本ルール+αで英語の冠詞はここまで簡単になる

3つの基本ルール+αで英語の冠詞はここまで簡単になる

最後まで到達していませんが、小テスト形式で問題がたくさんあるので反復練習用に良いのでは。

こういうのは紙媒体の方がいいかも。

その他

『キャバ嬢だけど、オタサーの姫です!: ~パソコンサークルの紅一点~』

キャバ嬢だけど、オタサーの姫です!: ?パソコンサークルの紅一点?

キャバ嬢だけど、オタサーの姫です!: ?パソコンサークルの紅一点?

「オタサーの姫」なるものが実在するかはともかく、なかなか面白い。

概ね3部構成で、前半が日常的なネタで、著者本人の過去の話を挟んで合宿ネタ。著者本人の過去はちょっと重いけど、意外というか努力家。

挿絵の関係なのか、全ページ画像。絵心のある人は羨ましい。

キャバ嬢が日雇い派遣なのかよってのが一番の衝撃。

イケメンな男性を見ても「遺伝だな」という感想しか湧きません。私は心の中ですら「アイツブサイクだな」といった類の文句をいいません。

この人すごい。人相を判断基準の一つにしている自分からするとすごすぎる。

ITの学習は本来、一人でもできるものです。本を読んだりネットで検索して調べるなどして自己完結する面が非常に多いのですから。
正直、わざわざサークルで勉強会をする必要がそこまで感じられません。(あ、言ってしまった)

基礎学力があるというのが前提だけど正論。ただ、Computer Science となると独学はしんどいと思う。

著者の人間性というか、著者の性格だからこその、微妙なバランスの人間模様という感じ。

『僕が伝えたかったこと、古川享のパソコン秘史』

僕が伝えたかったこと、古川享のパソコン秘史 (NextPublishing)

僕が伝えたかったこと、古川享のパソコン秘史 (NextPublishing)

古川享という人の回顧録。見方によっては売国奴じゃないかこの人ってのが一番の感想。

日本のパソコン黎明期にアスキー、Microsoftの日本法人で暗躍したときの、活躍ぶり(金の亡者?)っぷりが記載されている。

できるビジネスマンなのだろうけど、嫌な人だと思った。

悪名高きShift_JISをべた褒めしていたり、どうもよくわからない。MySQL 4.x とPHPとShift_JIS あたりの地獄絵図を知らずにいうのかってレベル。ダメ文字とか色々辛いんだよ? > Shift_JIS。

『当時の日本の大企業のエグゼクティブは若い人にチャンスをくれた』云々という話やMicrosoftのイベント会場からビルゲイツに追い出された話などは興味深い。

巻末に用語集、人物紹介、著者ご本人の年表があるので資料的価値は高いと思う。

『乙女たちの翼』

乙女たちの翼

乙女たちの翼

第二次世界大戦中に輸送部隊として活躍した女性パイロットについての本。

一人称視点で、かつ妙に教訓めいた文体になっている。主にヨーロッパ戦線向けにアメリカ国内の工場からカナダまで軍用機を操縦したらしい。

Kindleの位置No.としては1760行と比較的すぐ読めると思う。

一番興味が湧いたのは、文中で、「ビル・ヌドセン」と表記されている人物。

ググっても著者のブログしか出てこないのだが、英語綴りは、William S. Knudsen 。

英語版のWikipediaでは"Bill Knudsen"は"William S. Knudsen"に転送されてる。

William S. Knudsen - Wikipedia

ビル・ゲイツと同じでビルは愛称なんじゃないか。ヌドセンではなくナドセン表記にしても全然日本語のページが出てこない。

せいぜい映画俳優の情報だけ。

おわりに

来月はどうするか。月額料金分、元は取れているけど1日24時間という現実は変わらないのが最大のネック。

読書に費やした時間の方が貴重かもしれないと思う今日この頃。


それではまた。

今月のお買い物(2017年1月)

早くも今年も12分の一が過ぎてしまった。細かいのは面倒なのでレビュー省略。

一般書の書評はサブブログにそのうち。Kindle Unlimited は別枠で。

本・雑誌

2Dグラフィックスのしくみ ――図解でよくわかる画像処理技術のセオリー (WEB+DB PRESS plus)

2Dグラフィックスのしくみ ――図解でよくわかる画像処理技術のセオリー (WEB+DB PRESS plus)

書評は以下。

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雑誌

WEB+DB PRESS Vol.96

WEB+DB PRESS Vol.96

どっちも12月発行だけど年が明けてから購入。昔に比べると、「買わなきゃ」みたいな魅力を感じなくなった。WEB+DBの方は「はやぶさ2」の特集が面白かった。あとはSwift 3の記事。

Docker 特集はあまり興味がわかないのでSD誌の2月号はスルーの予定。昔は毎号購入是当然、ぐらいの時期もあったのに。

興味があまりわかないトピックこそ雑誌などであえて読む方がいいのかもしれないけど可処分時間は無限じゃないので。

iOSアプリ

有料アプリ購入は久しぶりな気がする。

精選版 日本国語大辞典

精選版 日本国語大辞典

  • 物書堂
  • 辞書/辞典/その他
  • ¥4,800

UIがよさげなのでこの開発元の英英辞書もしくは英英和辞書(英英辞書に日本語訳がついてるやつ)を購入しようか思案中。

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文具など

ちゃんとしたノートが欲しかったのでなんとなく。

SAKAEテクニカルペーパー 1mm方眼紙 上質紙81.4g/m2 A4 50枚 グリーン A4-12

SAKAEテクニカルペーパー 1mm方眼紙 上質紙81.4g/m2 A4 50枚 グリーン A4-12

大学生協のように近所でばら売りしてないので止むを得ず。

ニトムズ はがせる両面テープ 強力接着用 15mm×10m T3830

ニトムズ はがせる両面テープ 強力接着用 15mm×10m T3830

ガジェット・工具類

ちょっと明るさが足りない気もするけど、充電式で便利。耐久性は未知数。

安いんだから壊れたらまた買えばいいのではないでしょうか。

サンワサプライ 液晶画面用ハイテククロス DK-KC5

サンワサプライ 液晶画面用ハイテククロス DK-KC5


ウェットティッシュよりエコだと思ったので。


goot 逆作用ピンセット 大 TS-17

goot 逆作用ピンセット 大 TS-17

一回り小さい方がよかったかも。


goot 実装基板・精密プリント基板専用はんだこて CXR-31

goot 実装基板・精密プリント基板専用はんだこて CXR-31

goot 高密度集積基板用はんだ SD-60

goot 高密度集積基板用はんだ SD-60

実際の作業は来月を予定。


工具類のさび止め。

定期お得便

青汁 30袋

青汁 30袋

他にもサプリを飲んでいますが、サプリを飲み忘れることが多いので予備が2ヶ月分手元にあるという微妙な状況。

その他

アシックス(asics) クリアートビナワ ネイビー 91-130

アシックス(asics) クリアートビナワ ネイビー 91-130

ちょっと体重落としたいので。

普通におじさん体系に近づいています。

まとめ

来月はFPGA入門という名の半田付け作業の予定。来月こそはTensorFlowにトライしたい。


それではまた。

国語辞書アプリを買った話

Twitterで話題になっていたアプリです。割引キャンペーンだったので(1月31日まで)。

想定したよりもはるかにUIがいい。

精選版 日本国語大辞典

精選版 日本国語大辞典

  • 物書堂
  • 辞書/辞典/その他
  • ¥4,800


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「朝」で検索したところ。

また、カタカナ語はちょっと不安でしたが結構収録されているようです。

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詳細は開発元ページへ。

www.monokakido.jp

参考:「即買い以外にないですよ」日本最大の国語辞典がiOSアプリに。おすすめの使い方を聞いてみた

面白いと思ったところ

あくまでも個人の主観です。

インデックス画面

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タテヨコ両方向のスクロールで、見出し語を一覧できるようになっている。UIKitUICollectionViewをカスタマイズしているのかな。

一昔前にデジタルの欠点としてよく言われた、「デジタルは一覧性が良くない」という主張に対する一つの回答になっている。

画面サイズの大きいiPad Pro あたりで使うなら、決定打と言えるレベルではないでしょうか。

ひとつひとつの見出し語のセルの文字サイズが違うのも意外な点。文字サイズが不揃いになっているおかげでうまくメリハリがついていて逆にいい。

物書堂さんの他のアプリについては購入したことがないので以前からこうなのかもしれませんけど*1

検索機能

これもなかなかよい。検索語の入力ボックスの左側のアスタリスクのアイコンをクリックすると、パターン検索(シェルのメタキャラクタ拡張?)の特殊記号の入力ができるようになっている。

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普通の正規表現とは違って、シャープ記号を任意の漢字、アットマークを任意のカナに対応する特殊文字として使える。内部で[\p{Han}]とか`[\p{Hiragana}\p{Katakana}]‘というようにユニコードの文字プロパティに展開されているか?

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まったくの余談ですが、ラ@で「ラーメン」にヒットするかと思ったがダメだった。長音記号はかなには含まれていないらしい。検索結果が多すぎるとまずいのか、ら*でも「ラーメン」はヒットしない。「ラガー」、「ラグーン」*2などの単語はヒットするのに。ら*んなら問題ない。


検索パターンの展開エンジン(正規表現エンジン?)、どうしてるんだろうか。 ソフトウェア開発者の端くれとしてはとっても気になります。

シェイク操作で検索ボックスの文字列がクリアされるのも地味ながら便利。

イラストなど

こういう図表が省略されていないのもいい。

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そのほか

内部でlibxslt を使っているらしい。辞書データがXMLなのだろうか。手書き入力はオープンソースtomoeでもZinnia}ではなくパナソニック製のライブラリらしい。

まとめ

従来の、スタンドアローンの電子辞書*3の欠点をきっちりカバーしているのではないかと思います。

高校などの試験でスマートフォンを持ち込めないケース*4は不都合があるかもしれませんが、もはや学生ではないですし。

収録語彙数が多いはずなのに全然もっさりしていないし、使い勝手のいいUIのお手本みたいな感じ。

病院の待ち時間の暇つぶしとしてなかなかいい。あまり夢中になると名前を呼ばれても気づかないのでちょっと危険。


それではまた。

*1:大辞林のアプリからこのUIみたい

*2:ブラック・ラグーンを連想してしまうじゃないか

*3:アプリじゃなくて専用デバイスの方。なんだかワープロ専用機みたいに過去のものになっってる?

*4:そもそも、学生同士が相談できないように、各学生が同じ答えを書けないような試験問題にすればいいはずです。

今更ながら『2Dグラフィックスのしくみ』を読み終えた

久々の更新です。2015年の夏に発売された本のレビューです。

2Dグラフィックスのしくみ ――図解でよくわかる画像処理技術のセオリー (WEB+DB PRESS plus)

2Dグラフィックスのしくみ ――図解でよくわかる画像処理技術のセオリー (WEB+DB PRESS plus)

以前から気になっていたが、この前本屋で実物を確認できたので(電子版を)購入。

電子版は技術評論社電子書籍販売サイトから。

gihyo.jp

概要

画像編集ソフトの開発者が、普通の人*1向けにコンピューターにおける画像処理についてあれこれ解説した本?

対象読者はパソコンで絵を描いている人で画像編集ソフトの仕組みについて興味がある人。もしくは、2Dグラフィックスに興味がある人で簡単なC言語のソースを読める人。

ざっくりと特色をまとめると、以下のようになる。

  • 画像編集ソフトの開発者が執筆した一般向けの読み物
  • 画像編集ソフトの使い方の本ではない
  • 画像処理の専門書ではない

たいていの画像処理の専門書は顔認識など画像を解析して応用することをゴールにして書かれている。

一方、この本はいわゆるお絵かきソフトに関連するトピックを中心に解説している。 「あとがき」で言及されているとおり、対象読者が曖昧な気がする*2。誰が企画書書いたのか知らないけど、よく企画が通ったものだと思う。

構成

一般向けの読み物と言いながら、処理の解説の箇所で簡単なC言語のコードをモロに用いている。コンセプトといい、非常に挑戦的。まさに意欲作である。

巻頭にとってつけたように用語集がある点は親切。しかしながら、一般的なパソコン用語と、画像処理固有の用語やアルゴリズムの名称などまとめて五十音順に並んでいる。どうせなら各章の冒頭に関連する用語のみ説明するとか、もう少し工夫の余地があったのでは。

  • 0章:著者によるご利益のアピール
  • 1章:プログラムの動作の仕組み(および最低限のC言語の解説)
  • 2章:グラフィックス一般(図形描画処理のノウハウ)
  • 3章:画像処理(画像編集ソフトでよくありがちな処理について高速化のヒントなど)
  • 4章:レイヤーの取り扱いなどペイントソフトならではの話

最後の最後でJPEGの圧縮に使われている離散コサイン変換の説明でぶつ切りになったかのごとく唐突に終わる……。 コードリストを一通り眺めてページをめくるといきなり索引のページが続くのではっきり言ってびっくりする。

内容の詳細は出版社のページへ。

2Dグラフィックスのしくみ ――図解でよくわかる画像処理技術のセオリー:書籍案内|技術評論社

感想

非常に読みやすい丁寧な文章。(C言語のコードが苦にならないなら)特に高度な数学の知識は不要でスラスラ読める。一般向けの画像編集ソフトを開発している方による視点というのは有意義だと思う。

他の本を読む前にこの本を読んでいた方が効率よく画像処理分野について学べたかもしれない。

自分では分かったつもりだった知識(アルゴリズム)が、Cのソースに落とし込まれているのを見て意外と理解できていないことに気づかされる箇所がいくつかあった。

どういう経緯で執筆することになったのか不明ですが、ユーザーが間違った知識のせいで(画像編集ソフトを)おかしな使い方をしている、という現状をどうにかしたかったのかな?
画像編集ソフトの開発者なりにもっと活用して欲しいという思いがにじみ出ている。

残念なところとしては一般向け扱いなのでどうしても広く浅くなりがちな点。あとは詳しく解説して欲しいと思うトピックがほんの数行、言及しておしまいだったりとか。
いくら一般向けでもこの記述はちょっとはしょり過ぎでは?という箇所もあるし。人によって興味を持つトピックは違うので仕方がないとは思いますが。 対象読者層が狭いわりに、興味を持つ読者のニーズに幅があるんじゃないかと思う。

アルゴリズムの解説については問題点とか以前のヒントを示すというのはいいと思うが、参考文献があるとなお良かったのかと思う*3。もちろんネットでキーワード検索して調べればいいのだけど*4


高解像度のカメラを搭載したスマートフォンの普及とプログラミング教育への関心が高まっている昨今の社会情勢からすると、潜在的に画像処理分野に興味を持つ人は増えているように思います。もう少し対象読者を明確にしていればかなり部数を狙えたのではないかでしょうか。

あれこれ文句を書いたけど、コンセプト自体は画像処理関連の分野における『プログラムはなぜ動くのか 第2版 知っておきたいプログラムの基礎知識』という書籍のようなポジションも狙えたと思う。改訂版もしくはよりソフトウェア開発者よりの内容の書籍に期待したい。

まとめ

画像処理分野に興味がある方の最初の一冊として、あるいは今までなんとなく画像編集ソフトを使っているが操作手順に自信が持てない方にオススメかと思います。

グラフィック関係のアプリを作る場合にも間違いなく参考になるはず。特に画質と処理速度のトレードオフの解決のヒントになると思います。

難点はやはり、一般向けのはずなのにアルゴリズムの説明がC言語のソースを用いている点。理工系の出身でも人によっては嫌がるのではないだろうか。個人的には変に数式と文章よりわかりやすいのですが。

価格がもう少し安いと良かったかなと思います。

関連リンク


他の方による乾燥など。

参考

この書を読んで、物足りないと思ったなら、画像処理の専門書としては下記が網羅的に解説している。数式多めであまり親切とは言えないけど、一通り解説されてる。

コンピュータグラフィックス [改訂新版]

コンピュータグラフィックス [改訂新版]

ディジタル画像処理 [改訂新版]

ディジタル画像処理 [改訂新版]

価格が結構しますが、Kindle Unlimitedでも読めます(ただし固定レイアウト)。

また、画像処理の教科書としては下記がわかりやすいかと。

はじめての画像処理技術(第2版)

はじめての画像処理技術(第2版)

他の画像処理についても書評記事を書いているのでご参考まで。

a244.hateblo.jp

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以上です。

それではまた。

*1:プログラマというだけで文字通り普通かどうかは別

*2:他の方のレビューでも指摘されているとおり

*3:圧縮アルゴリズもの箇所にみ参考文献が注釈として記載されている

*4:実際、キッテルの固体物理学ではネットで調べればいいという理由で参考文献が省略されている(分野が違うけど)

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