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ここではないどこかへ

『SOFT SKILLS』 読了


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なかなか考えさせらる本だった。今年の2月頭に購入してから読み切るまで結構かかっている。

SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル

SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル

原著:Soft Skills: The Software Developer's Life Manual

日本語訳が出版される前から話題になっていた本。海外在住の方のブログで紹介されていたのを見て気になっていた本。

以前から読もうとは思っていて、危うく原著に手を出すところだった。

今の自分の英語力からいうと、間違いなく原著だったら途中で挫折していたと思う。

幅広い話題について著者の考えを述べているタイプの本なので技術書とは出てくる単語が違うということは容易に想像がつくし、普通に分量が多いし。

翻訳も読みやすいので素直に日本語版を読めばいいと思う。

全体としての感想

メインテーマは、

ソフトウェア開発者の人生設計と、そのために生産性をいかにキープするか

というもの。

価値観の相違についてはかなり根が深いと思ったが、なるほどこういう考え方もあるのかという感想。

筋トレ万能論的な箇所はちょっとどうかという感じはしたが、トータルで見れば何度も読んで実践したいと思った。

健康維持についての内容は、オライリーの『ヘルシープログラマー』に書いてそうだなという印象。

一つ一つの章が短いので読んだ実感が乏しい。複数の章に分けて一つのテーマを説明する箇所もあればそうでない箇所もある。個々の内容は良いけど全体としてはちょっとチグハグな印象。

有益なアドバイスも多数あるし、具体的なテクニックもいくつか掲載されている。

交渉テクニックについては下馬評のせいで期待しすぎたのか、肩透かしを食らった感じがする。特に給与交渉についてはそこまで実践的かというより一つの例という感じ。

交渉テクニックについては英語圏のケースだろうから、自分で日本向けに応用例を考える必要があると思う。モノの言い方というか言い回しを勉強しておこうと思った。

面白いと思ったところ

全部で71章もあるので全部はさすがに無理です。他の方の書評で触れてなさそうなところを。

ソフトウェア開発者は何を提供しているのか

ソフトウェア開発は、様々な活動や各種サービスを包み込む広い意味の言葉だが、一般にソフトウェア開発者は、アイデアを受け取ってそれをデジタル化された現実に変身させる能力を売っている。
ジョン・ソンメズ. SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル (Kindle の位置No.410-412). . Kindle 版.

デジタル化された現実、というパワーワード。

『アイデアを受け取って〜デジタル化された現実変身させる』というくだり、実現でも具現化でもなく、現実に変身させるという表記にしたのは面白いセンスだと思う。ここだけ原文の英文を確認させて欲しいところ*1

逆に言うと、どういう現実を実現して欲しいのか、はっきりしてくれないとどうしようもない……。

あなたが提供しているサービスは、ソフトウェアを作れる能力だ。
ジョン・ソンメズ. SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル (Kindle の位置No.413). . Kindle 版.

今までちゃんと考えたことはなかった。漠然と時間をと労働力を提供している、という漠然とした感じだった。

ただ、今の自分自身の方針として肩書きで自分を限定したくは無いので、特定の職業がどうあるべきって話は一歩引いた立場で見てる。

寄付のはなし

収入の1割を寄付していたらしい。非科学的だけど他の本でも言及されていた。

しかし、妻と私がともにキリスト教徒で、信仰の一環として、収入の約10%を寄付していることに触れなければ、正直な話にはならないだろう。 私たちが早期引退への旅に出発した頃から、私たちはすべての収入の10%を納めることに決めていた。
(中略)
初めて10%の寄付をしたときには、その翌週に私たちが寄付に充てているのとちょうど同じ額だけ妻の給料が上がった。個人的には、私たちの成功のかなりの部分は、この10%の寄付(今も続けている)のおかげだと思っている。
ジョン・ソンメズ. SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル (Kindle の位置No.6256-6261). . Kindle 版. (省略は引用者による)

もう少し余力があれば真似をしてオープンソース関連の団体に寄付するのもいいかな。

Wikipediaが有力候補だったのだけど退職金が多すぎるとかいう話もあるし。個人開発のOSSに寄付したいけど日本からだとPayPal経由で送金できないケースが多いのが難点か……。

一番お手軽なのは神社だけど、心のどこかで自分の利益のため(ご利益信仰)に……というのは何となく後ろめたい感じがする*2

余計なお世話

68章は必要だったか疑問。いらないものを見極めてこそ人間というものよ。

そういう仲良くしなさいハラスメント、はやめて欲しい。

自分の両親とか親戚・従兄弟を見るとディストピアにしか見えないし。

社交的になりなさいという善意を振りかざすのはいいけど、巷にあふれる困った人をどうにかしてから言って欲しい。

まとめ

良書の部類なのは間違い無いと思う。

何しろ全部で71章+付録という構成で話題が多岐にわってい流ので読み手の境遇次第でいくらでも活用できると思う。

定期的に読み直すと真価を発揮しそうな印象なので、そういう意味では紙媒体で買って手元にキープする方がいいかも*3

まずは紹介されているテクニックのうち、ポモドーロという25分作業して5分休憩を繰り返す、というメソッドを試している。

タイマーをかけ忘れて作業を始めたりとか、あまり上手くいってないけどしばらくは続ける予定。


それではまた。

*1:翻訳に文句を言ってるわけではなくて

*2:お寺の方は雰囲気が苦手なのと、ひどい坊主の話は結構聞いてしまったので論外

*3:電子書籍は存在感が薄いので、リマインダーでも仕掛けておかないと存在を忘れがち

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