「プログラミング教育必修化」について思うこと
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(画像はフリー写真素材ぱくたそさんより)
ちょっと周回遅れだけども、思うところがあるので書いておく。
あちこちで批判的な記事が出ているので今さらだけど、私もうまくいかないに一票。
これまでの理科系教育がうまくいっていないのに、プログラミング教育だからうまくいくなんて誰が思うのかと。
この国の情報系の技術者はIT土方*1なんて揶揄されてるのに……。
おそらく失敗するだろうけど………
それでも一言だけお願いしたい。
中途半端なプログラミング教育で苦手意識を植え付けるような教育だけはして欲しくないということ。
体育で劣等感を植え付けられた子供が運動全般を嫌いになるのと同じ悲劇はやめて欲しい。
平均レベルの子供に重点を置く教育で、一体どうやってプログラミングを教えるというのでしょうか。
率直に申し上げてパソコンアレルギーを量産するというオチしかイメージできない。
プログラミングどころかパソコン自体、一度苦手意識を持つと、なかなか抜け出せないはず。そうなるぐらいなら、やらないほうがマシ。本当に必要なら企業側で育成するはずです。
というか全国津々浦々の小中学校にほんの数年でプログラミングの初歩(ですよね?)を教える教員を配置できるとは思えません。
そもそも論 その壱
教わってない公式使ったらダメとか、まだ教えてない漢字はひらがなで書きなさいとかそんな体たらくでプログラミング教えるつもり?
プログラミングで正解はひとつとは限りませんよ*2。
今の状況だと、向こう数年でまともな教員育成は間に合わないだろうから、よくTwitterで話題に上がるような、
5×3=15はOKだけど3×5=15はダメ
と同じ悲劇がプログラミング教育でも繰り返されるのではないかと思います。for文
はいいけどwhile文
はダメとか、このライブラリ関数は教えてないから使っちゃダメ、とか。
プログラマの待遇改善が先ではないですか?
これは技術者全体に言えることだけど。
今、現場で働いている人材を大事にしてください。
産業競争力会議とやらの参考資料にアメリカの高収入の職業ランキングが入っていますが、アメリカ並みの高額報酬、払えるんですかね。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/skkkaigi/dai26/sankou2.pdf
小中学校でプログラミング必修化の前に、老害の老人にITリテラシーを叩き込むべきではないですか?
まっとうなプログラミングの教育を実施できたとして、その世代が社会に出たとして、意思決定を担う年齢層がIT音痴じゃしょうがない。
むしろ本当に必要なのは「労働基準法」では?
さすがに高校生にならないと厳しいとは思うけど。
そもそも論 その弐
大学院重点化政策にともなうポスドク問題、つい最近の法科大学院の悲劇、お忘れですか?
最近の国の大きな政策はことごとく裏目に出ているように思うのですが、それでもおやりになりますか?
民間の邪魔をしないのが最良の策では?
政治家の子は政治家に、官僚の子は官僚を目指すこの国で、数理・情報系の人材育成など片腹痛いと思いませんか。
少子化と教員
ひねくれた見解ではあるけど、産業競争力うんぬんってのは悲しいけど 、嘘まやかし。
本気で産業競争力を維持もしくは向上させたいなら技術者の待遇を改善すればいい。
上記の記事のグラフを見れば一目瞭然、いい感じに少子化してる。
この記事では「子供の数が減るから新規の教員は採用できないよ、専門の人材は雇えないよ」という趣旨だけど、子供の数が減るということはつまり、確実に教員過剰。手の空いた教員が一定数発生する。
少子化で教員があまるから適当に研修受けさせてプログラミング(笑)の授業させておこう
とかそんなところじゃないのってこと。ついでにいうと少人数授業も同じく教員の失業対策じゃないかと思う。 タチが悪いことに今回のはタブレットやらパソコンの新規導入で予算が動く。
[2016/12/08 更新] 文部科学省の議事録の資料将来予測付きのグラフを見つけたのでリンクしておきます。
結局、プログラミング教育の名の下に、文部科学省にとっての予算確保の錦の御旗が増えるだけ。
IT業界の多重請け負い構造をなんとかしてくれた方が百倍マシ。もしくは、人材の流動性を向上するために解雇規制の緩和でもした方がはるかにマシ。
まとめ
余計なことしなくていい。若者の自主性と神の見えざる手を信じるべき。子どもは大人が考えているよりもずっと逞しい。 子どもの頃に流行った遊び*3が意外なことに将来役に立ったりする。国が余計なことをする必要なんてない。
不思議とその世代に「必要なもの」は子供のころ流行った遊びで身についたりする。
作為をしないという老子ライクな方針でいい。長期戦略を持たないというのがこの国の長期戦略だったはず。
教育関係者の努力は否定しないけど、あれもこれも義務教育でやろうというのは無理がある。
今いる人材を大事にしてください。
体育嫌いの人間として言えることは以上です。それでは。

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