書評:『UIデザイナーのためのSketch入門&実践ガイド』


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ちまちまと読んでしばらく中断していたら購入してから半年近く経ってしまった。

そもそも対象読者じゃない人間の書評に意味があるかは気にしない。

概要など

UIデザイナーのための Sketch入門&実践ガイド

UIデザイナーのための Sketch入門&実践ガイド

固定レイアウトだけどKindle版あり。

デザインそのものというよりデザインの可視化のための編集ツールとしてのSketch入門&解説書。

もっともらしくいうと、最近の時代背景を考慮した、紙のデジタル化のもう一歩先、画面サイズの多様化に対応するためのツールとしてのSketchの解説書? 

デジタル化の真の恩恵を受けるためにはデータの構造化が必要で、デザインの論理構造をある程度キープしたままデジタル化できるのがSketchの強み(主にSymbolとOverride 機能による)。 

そのSketchの強みを活用した効率のいいデザイン作成のワークフローの解説がこの本(たぶん)*1

良い点

  • 何より日本語で書かれている
  • 基本機能の解説が詳しいうえに、"Hint"として便利機能が解説されている
  • 基本機能(メニューおよび画面左側のインスペクタ)の解説 + シンボル機能を活用したチュートリアルの構成
  • メジャーなプラグインの簡単な紹介

前半はSketchの機能の解説で、後半はデザイン上の変更が発生したときにラクできるようなデータ作成の手順とノウハウ。

後半(主にChapter 8)はあくまでもデザイナー向けの、効率よく見栄えのいいデザイン結果のデジタル化する手順を解説する本と捉えた方がいい。


購入時点で手元のSketch のバージョンが本書と同じ43.2だったのでChapter 8の途中まで写経(?)してみましたが、「そこまでやるの?」という感想。
細かいことにうるさいお客さん相手にデザイン案を提出するような状況には非常に参考になるはず。

イマイチな点

  • 電子書籍が固定レイアウト(Kindle)のみ
  • Kindle 版のスクリーンショットが小さめで見づらい
  • 書籍発売後に追加された新機能について出版社側でフォローされていない
  • アイコン作成などアプリ作成向けのノウハウについては詳しくない*2
  • 細かいところで記述が雑で操作手順がわかりにくい(特にChapter 8)
  • プラグインの導入を前提にしている一方で、プラグインの詳細な解説がない(Chapter 8)

後半へ行くほど操作手順の説明が雑。特にChapter 8は説明がわかりにくい。それなりにわかっている人向けの説明。

特にChapter 8は「こういう方法もありますよ」というヒントと操作手順が混ざっているのでもう一工夫して欲しかった。中途半端に知識のある人間にはつらい。

[2017/11/22 追記]

細かいことは書かない方がいいかと思ったけど書いておかないとなんとなく落ち着かないので追記。

Chapter 8で「シンボルを作成」と言う記述に遭遇するたびに"要するにアートボード上にシンボルを配置"と"Create Symbol"のどっちなのか混乱する。直後の記述で判断はできるんだけど。

また、何を操作の対象にしているのか、操作の対象が切り替わっているのかどうか、わかりにくい。

わからない訳じゃないけど、微妙に戸惑う箇所がある。

流石に重箱の隅をつつこうとは思わないけど。

[追記ここまで]

文化の違いについて

「レイヤー名(の末尾)に絵文字を使うと便利」云々っていう箇所があって、しかも8章のチュートリアルで実際に実践している……。 

その発想はなかったし、もちろん自分はそうしたいとは思わない。

入力可能だったらなんでもぶち込んでくるん奴がいるという想定でいないといけないと認識を改めた次第。

プログラムを書く側としては、当然変な入力が来る可能性は当然想定しないといけないんだけど、なんかこう、「そうきましたか」という感じ。

やっぱり絵文字をユニコードに収録したのは間違いじゃないのかと思う。

デザイナーに色盲はいないだろうし、共同編集するタイプのアプリケーションじゃないし、もちろん使う側の自由。 視認性が悪かろうが、表示環境によって見た目が多少変わっても関係ないか。

……声に出すときどうするのかちょっと興味があります。


まあSEでもデータベースのテーブル名に日本語使う奴*3がいるぐらいなので、まあなんでもありなんだけど。

関係のない話だけどExcelのシート名とか列名に絵文字ってどうなるんだろう。VBマクロとか大丈夫なのか……。


なお、Sketchで絵文字の入力時はCtrl+Command+Spaceで入力パレットが表示*4

まとめ

デザイン系の職種の方が後から変更しやすいように、とかUI部品の使い回しを気にしているのは興味深い。ソフトウェア開発系の人間が仕様変更が発生したときに苦しまないように悪戦苦闘しているのと共通しているようで面白い*5


それはさておき、(細かいところは目を瞑るとして)UIデザイナーじゃなくてもSketchユーザーなら買って損はない本かと。

特にアプリのアイコン作成ぐらいしか使わないとしても、意外な便利機能が色々と紹介されているので前半3分の2だけでも有益*6

UIデザイナーではないのでそういう仕事の人はChapter 8だけでも読めば作業効率の改善につながるはず。

まずはきっちり基本機能を習得して、それからプラグインを活用していければいいか、という感じ。

ただの機能紹介よりは「UIデザイナーのため」というこの本の対象読者の設定は良かったのではないかと思いました。

書評としては以上です。

関連リンク

出版社のサイトなど

開発元のサイト

デザイン用のリソース

本文で紹介されているもの。sketech形式のファイルがダウンロードできる。

他にも紹介されているけど面倒なので省略。

関連ツール

執筆者のブログ・補足情報

IT系の書籍の宿命として、出版後に対象のソフトウェアのバージョンアップで内容が陳腐化したり記述内容と齟齬が出るということが良くある。 把握している範囲でバージョン44 でResizingにUI仕様変更、バージョン47 のLibrariesは言及のみで解説がない。著者のブログなりWeb情報を参照する必要あり。

著者自身のブログに情報があるのはいいことだけど、出版社側のページにこういうフォローがないのは残念。

そのほか

*1:著書がどこまで高尚なことを考えて書いたかどうかは別として

*2:あくまでも画面デザイン向け。もっというとデザインのデジタル化

*3:使えるからって実績のないものをわざわざ使わなくてもいいだろうに

*4:本文に記載のあったショートカット

*5:あまり笑えないけど

*6:そもそも自作アプリの非デザイナーがデザインを検討するにはオーバースペックという現実からは目をそらしましょう

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